【R6年末調整】「税扶養」と「定額減税対象」の違いは2つだけっぽい。
※筆者は一介の社畜事務員に過ぎず記事の正確性は保証しない。
まったく調べる気にならず、放置していた令和6年の「年末調整」。
なぜ、業務上必要な知識であるにも関わらず、調べる気が一切湧かなかったかというと、「定額減税」が今年限りの、たった1回限りの措置であるからだ。
勉強したとて、来年以降まったく使えない。
そんなもの、積極的に調べる気に到底なれない。
完全放置プレイだったのだが、納税協会から例年のごとく「年末調整説明会」の案内が送られてきたので、それに参加し、勉強することにした。
理由は2つ。
① 説明会に行くという言い訳で職場を離れることができ、前後に(なんなら説明会中も)サボタージュできるから。
② どうせいつかは詳しく調べないといけないのだから、受動的にボーッと説明を聞いているだけで知識が得られて楽そうだと考えたから。
以上だ。
今年の説明会は例年とは違っていた(参加するのは数年ぶりだが)。
通常の年末調整の説明は大幅に削られ、その分が「定額減税」の説明に振り替えられたのだ。
説明会の時間を伸ばすのではなく、説明を一部省略するというのが、いかにもお役所という感じ。
講師を務めた税務署職員の説明の大部は、我が中小零細企業には関係がなかった。
例えば、本人が一定の高額所得者であると、たとえ配偶者が無収入でも配偶者控除や定額減税が受けられないのだが、その「一定の額」というのが、配偶者控除と定額減税で異なるらしい。どっちかが受けられてどっちかが受けられない(それすら曖昧)。
しかしながら、我が中小零細企業にその要件に該当する「高額所得者」など存在しない。
まったく関係のない、雲の上の話である。
そのようなわけで、大方は爆睡していても問題ない、取るに足らない論点だった。
我が社の令和6年の年末調整に関わりそうな重要論点は下記だけだった。
そして、それは多くの企業にとっても同じだろう。
なので、事務担当者は読んでおいて損はない、とは言い切れない可能性がなくはないと考えられる。
大前提として、「定額減税額」は「全員同じ」だ。1人あたり3万。
所得控除のように属人的要件により控除(減税)額が変わることはない。
対象人数を数えて、一律に3万かけたらいい。
めっちゃ簡単だ。
逆に言えば、「対象人数」を数えるのをミスったら終わりだ。
この点だけは、血眼になって申告書を確認しなければならない。
さて、「対象人数」の確認方法について、事務担当の頭には、次の2つのパターンが思い浮かぶはずである。
すなわち、
①「月次定額減税の対象人数」と「年調定額減税の対象人数」を比べる。
②「年調税扶養人数」と「年調定額減税の対象人数」を比べる。
通常の年末調整であれば、「毎月の給与計算で行ってきた源泉徴収の税扶養人数」と「年末調整時の税扶養人数」を比較し、異動のあった人数を足し引きする。それしか方法はない。
つまりは、①に近い確認方法を採用することになる。
では、「定額減税」においても、同じように「月次定額減税の対象人数」と「年調定額減税の対象人数」を比較すべきなのか。
それは圧倒的に非効率である。
なぜなら、ぶっちゃけ、毎月の給与計算で行ってきた「月次定額減税額」なんて別にデタラメでもいいからだ。
まさに読んで字のごとく「年末」で「調整」できるのだから、月次について確認を行う必要などない。
月次と年調の対象人数の差分を出したとて、年調が間違っていたら意味がない。
月次を確認する時間があるなら、年調を何度も確認すべきだ。
つまり、まずは例年と同じく、被扶養者について「年調」時点の人数を正確に合わせる。
その正確な「税扶養人数」を元に「年調定額減税の対象人数」をハジき出す。
それがもっとも効率的だ。
確認方法としては②が圧倒的に正しいのだ。
この前提に立った上で、では「税扶養人数」と「定額減税対象人数」の差異はなにか。
「税扶養人数」にナニを足してナニを引けば、「定額減税対象人数」になるのか。
答えは次のとおり。
①「税扶養人数」に「16歳未満の被扶養者」を足す。
②「税扶養人数」から「配偶者特別控除」を引く。
以上。
これだけ。
補足すると、
16歳未満は、児童手当がもらえる代わりに、所得税の扶養控除は受けられない。しかしながら、定額減税は人頭減税なので、何歳だろうが1人とカウントされる。
配偶者について、「収入103万の壁」を超えてしまったら配偶者控除は受けられないが、その先にも実は段階的に壁が設けられていて(所得133万が最後の壁)、その壁を超えない限り、配偶者「特別」控除が受けられる。しかしながら、定額減税においては、「壁」は「103万」のひとつしか設けられていない。給与収入103万(所得48万)を超えてしまったら、はい、即アウトー。定額減税は受けられない。
今年の年調の具体的な確認方法は以下のとおりにする。
① 「源泉徴収簿」と「扶養控除申告書」「基礎控除等申告書」を用意する。
② 源泉徴収簿の右上の扶養人数を申告書に照らし合わせて確認する。
③ 扶養控除申告書の下の方の「16歳未満」をチェック。
④ 基礎控除等申告書の右側の配偶者の控除区分(配偶者特別控除)をチェック(基礎控除欄の本人の収入は、どうせ全員900万以下だから無視)。
⑤ 源泉徴収簿の欄外に記入される定額減税額が「(②+③-④)×3万」になっているかを確認する。
基本、給与計算ソフトが自動的に計算してくれるので問題はないはずだが、時間に余裕があれば、上記の確認を行うことによって「年調を間違えたかもしれない」という無用な不安感を軽減することができる。
※税務署職員は「居住者」の区分にも注意するように強調していたが、我が社には関係がないので無視。
とにかく「時限措置」はやめて欲しい。
冒頭で述べたように、労力をかけて理解しても、来年以降は使えないのだから。
ほんと無駄。
ブログのネタにするくらいしか有効活用できない。