2024-03-06 / 最終更新日時 : 2024-03-06 tarukichi_62 読書 【読書】『悪童日記(アゴタ・クリストフ著)』を読んだ感想――その美少年像は、女の妄想か歴史の実在か。 ※ネタバレあり! 「その本、おもしろいですよね」。 会社からの帰路、電車の中で急に声をかけられた。 驚いて、読んでいた本から、話しかけてきた見知らぬ人物に視線を移す。 50歳くらいの中年女性だった。 黄昏の帰宅ラッシュの […]
2024-01-18 / 最終更新日時 : 2024-03-26 tarukichi_62 読書 【読書】『羆嵐(吉村昭著)』を読んだ感想――自然と対峙するとはどういうことか。 2023年はクマによる人的被害が過去最悪に達した、とテレビニュースが騒いでいた。国が統計をとり始めて以降、負傷者数が最多だったという。 一方、本書で取り上げられるクマ被害は、大正4年に発生し、今でも「日本獣害史上最大の […]
2023-11-29 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『鹿の王』(上橋菜穂子著)を読んだ感想――「個」と「全体」の狭間で。 著者の作品は、「守り人」シリーズ(10巻)と『精霊の木』『狐笛のかなた』を読んだことがある。 正統的な異世界ファンタジーを紡ぎあげる著者の手腕は、「文化人類学者」という、著者のもう一つの職業に依るところが大きい。 […]
2021-11-25 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『ゼロ――なにもない自分に小さなイチを足していく』(堀江貴文著)を読んだ感想。 結局、”ノリがいいやつ”が成功する。 僕は勝ち組が嫌いだ。 生理的な嫌悪感を抱いている。頭のてっぺんから足の爪先まで、彼らの価値観や思考回路ひっくるめて、徹頭徹尾すべてが嫌いだ。 そのような理 […]
2021-09-03 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』(丸岡いずみ著)を読んだ感想。 うつ病に関する分かりやすい対応集。 僕も20代の頃に行ってきたことがある――”うつ地獄”に。 ただし、それは日帰り旅行のようなもの(通院)で、著者のような長期滞在(入院)は未経験。 若干のシンパ […]
2021-07-02 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【海外文学】『人形の家』(イプセン著)を読んだ感想。 「人類みな平等」――そのバランスは常に危うい。 (長期企画「世界最高の小説【BEST100】を読破する!!!」第7回) フェミニズムは、被抑圧者による権利回復運動の一変奏でしかない。この小説から読み取るべきは、「女性の […]
2021-07-01 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【海外文学】『ゴリオ爺さん』(バルザック著)を読んだ感想。 壮大な理想を前にした卑小な人間どもの滑稽さ。 (長期企画「世界最高の小説【BEST100】を読破する!!!」第6回) 「人間喜劇」と呼ばれる作品群の一つであるらしい。 誰にとっての「喜劇」か? それはもちろん我々観客( […]
2021-06-30 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【海外文学】『白鯨』(メルヴィル著)を読んだ感想。 シロナガスクジラよりこの小説のほうが長い。 (長期企画「世界最高の小説【BEST100】を読破する!!!」第5回) 本書を読み始めたのは、今を遥かに遡ること数ヶ月前――。2015年の夏だ。 夏の太陽の下で読むに相応しい […]
2021-06-29 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【海外文学】『老人と海』(ヘミングウェイ著)を読んだ感想。 「自分に打ち克つ」という快楽に耽る老人。 (長期企画「世界最高の小説【BEST100】を読破する!!!」第4回) 〈老人〉が闘う相手は何か。それはカジキでも海でも自然でも孤独でも運命でもない。自分自身だ。 この物語の登 […]
2021-06-28 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【海外文学】『異邦人』(カミュ著)を読んだ感想。 異邦人はそもそも理解されるべき存在か。 (長期企画「世界最高の小説【BEST100】を読破する!!!」第3回) 裏表紙に書かれた「あらすじ」によって読み方を規定されてしまった。引用しよう。 母の死の翌日海水浴に行き、 […]