【大阪】一人で海遊館に行ってきた。~2014夏篇~
暑すぎる。全裸になって広大な海にダイブしたい。太陽光の届かない、暗く静かな海底へと、深く深く沈んでいきたい。
夏の暑さで脳ミソ沸いた馬鹿共が浮かれ騒ぐ喧騒の世間から、遠く離れ、暗く静かな深海へと。
沈んでいきたい。
しかし、僕は海洋生物ではないし、潜水艦を所有するほど富豪でもないし、スキューバダイビング免許も持ってないし、ぶっちゃけ、どちらかというと金鎚な方だし。まあ、金鎚でも沈むことはできるだろうけど、それは何だか穏やかじゃない。苦しそうだ。夏の暑さという苦しみから逃れられたとしても、別の苦しみが待っていそうだ。
無性に水族館に行きたくなった。
水族館ならば海底の雰囲気を疑似体験できる。
静かそうで涼しそうだ。
というわけで、行ってきた。
大水槽の最下層にあるガラスから上を見上げれば、僕は今まさに、海底にいた。
iPohoneでスピリチュアルな音楽を聴きながら、缶コーヒーを一口啜ってみる。
やべぇ。
予想の上をいく「最高のひととき」じゃねえかよ。
失禁しそうなほど、美しいじゃねえかよ。
もう観覧ベンチから動けねえよ。
動きたくねえよ。
眼前には、圧倒的な水量を誇る水槽。
上も、下も、左も、右も、青。青。青。青。青。
その中を漂うようにゆっくり泳ぐ海洋生物たち。
僕は、かれこれ一時間はベンチに座って、水槽を見上げていた。
見学順路のラスト近くに現れるのが上述の最高スポットである大水槽の最下層付近であり、これだけ見れば個人的には十分であったが、海遊館には他にも下記のような展示がなされていた。
イルカの水槽では、こんな至近距離でイルカショーが見れる。飼育員たちがエサで巧みにイルカを操り、それをあたかも「私たちはイルカと意志が通じ合っているんです」と演出していたのが興味深い。
赤道付近の海。珊瑚礁と色鮮やかな熱帯魚。
一転して、極地のペンギン。
想像以上に水中で俊敏な動きを見せるカワウソ。生餌(小魚)が投入されると、四方八方から数匹のカワウソが弾丸のように飛び交う。
オオサンショウウオ。でかい。
蟹。超でかい。手前に写る子どもと比較すると、その大きさがよく分かる。
世界最大の淡水魚ピラルク。鬼でかい。成人男性の平均身長の二倍ほどの長さはあるように見えた。
クラゲ館では、多種多様なクラゲを見ることができる。
このようにそれぞれ主役級の海洋生物たちが我々をおもてなししてくれるわけだが、そんな中、おそらく誰からも注目されないであろう我々のような存在を見つけた。
大水槽の上を見れば、冒頭のような美しい景色を堪能できるわけだが、ちょっとさ、下も見てやって欲しいよ。
なんか、こんな奴らがいる。
いっぱいいる。
きっと鑑賞目的の奴らじゃない。
こんな奴ら、ずっと見ていても、何が楽しいのかまったく分からない。
こんな奴らを見るくらいなら、まだ寿司屋の生け簀でも見ていた方がマシだ。
と、思ったが、コイツらが大水槽に入れられているにも何か理由があるはずだ。きっと、海底の掃除なんかをしているに違いない。
そうだ。
こんな誰からも見向きもされないような奴らでも、この美しい大水槽の景色を成り立たせるのに一役買っているんだ。
そうだ、我々は主役ではない。が、何かしらの存在意義はあるのだ。
我々と同じ種族と思われる「ナマケモノ」と呼ばれる動物も展示されていた。
なんなの。
コイツはこんなに怠けていて何も言われないというのに、我々が怠けていると怠けていない他の勤勉な類人猿たちが執拗に攻撃してくるだろう。不条理。納得いかない。
見ろよ、コイツの幸せそうな顔。ずっと動かないだろ。生きてんだぜ、これでも。
なお、水族館は博物館の一種なので、解剖学的な展示もあった。
様々な海洋生物の骨格標本が展示される中、こんなものがあった。
ラッコだ。
骨格標本の上の壁にかけられている写真が、なんだか遺影のようだった。
ちなみに、海遊館ではラッコも飼育されている。是非見よう。
また、出口付近ではサメ類(小型のサメやエイ)に素手で触れることのできるコーナーが設けられている。いわゆる「サメ肌」を実体験してみようというコーナーだ。
なんかヌルッとしていた。
海遊館の帰りに、大観覧車に乗った。一人で乗った。独りで観覧車に乗った。
観覧車からの眺め。
大水槽の前では青の景色に圧倒され、癒されること間違いなしだ。
その前後に経験しなければならない、家族連れやカップルの楽しそうで幸せそうな笑顔は無視しよう。