【読書】『むかしむかしあるところに、死体がありました。(青柳碧人著)』を読んだ感想――超常現象に推理は通用するか。

 謎解きにファンタジーの要素を加えた点が斬新だ。

 ファンタジーとは言っても、それは「新たなルールの追加」を意味するに過ぎず、論理や因果律といった体系を超越するわけではない。むしろそれらは、本格推理小説と同じように、非常に重視されている。

 各話のテーマも、「アリバイ」「ダイイングメッセージ」「倒叙」「密室」「孤島」と、ミステリーが長く扱ってきた古典的題材ばかりだ。
 現実世界でのそれがやり尽くされた感があるので、ファンタジーの要素(例えば、「一寸サイズの人間」や「特定空間の時間の進みを急激に早める玉手箱」など)を付け加えたのだろう。
 「ふつうの人なら通れない隙間も一寸法師ならば通れる」といったような「新たなルール」が付加されることで、従来の推理小説とは一味違った謎解きを楽しめた。

 ただ、あくまでパズルの解読を知的に楽しむ作品で、寓意や抒情を感じ取るような昔話を期待していると肩透かしを食うかもしれない。

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