2020-12-06 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『自動起床装置(辺見庸著)』を読んだ感想――合理性の追求により剥奪される人間性。 無意識について我々はそれを制御できない。「私」の支配下にそれはない。 効率性や論理性によっては説明できない事象が「私」の中に、世界の不条理と同じように存在する。 にも関わらず、時々我々はそれを都合のいいように操れると錯 […]
2020-10-06 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『異類婚姻譚(本谷有希子著)』を読んだ感想――結婚相手も結局はただの異類。 多分に絵画的な作風だった。 おそらくこれは著者が劇団出身であることと関連が深いのだろう。演劇は、劇中の一場面をまるで絵画のように演出し、観客に鮮烈な印象を与えることによって、主題を語る。 また、当然のことながら、その一 […]
2020-10-03 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書企画】芥川賞受賞作を読破する!(平成篇) ※この記事は企画の進捗状況を記録するページです。 初見の方以外は「前置き」は飛ばして下さい。 (目次の『「芥川賞受賞作(平成以降)を読破する!」企画の進捗状況』をクリック。) (前置き)なぜ芥川賞を読破しようと思った […]
2020-09-29 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『生の肯定(町田康著)』を読んだ感想――自意識過剰なオッサンvs放埓なオバハン。 著者の作品の多くは、フィクションとエッセイが混在しているかのような形態をとっている。 小説と思って読んだら実寸大の著者が主人公で出てくるし、随筆と思って読んだら破天荒な虚構世界が展開される。 どちらにしろ面白いことに変 […]
2020-09-04 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【小説】『むらさきのスカートの女(今村夏子著)』を読んだ感想――被疎外者の共感の行方。 社会から疎外された孤独な人間は、同類を嗅ぎ分ける能力に長けている。 同類を見つけることで、自己の置かれた状況から生ずる不安や焦燥を和らげようとするからである。 つまはじき者は自分だけではないのだと、胸をなでおろしたいの […]
2020-04-22 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子著 通常の人間は、この小説の主人公のように、老年を迎えてからやっと、孤独に対する対処法を体得するらしい。子が独立し伴侶と死別するまでそれについて深く考える必要に迫られなかったというだけで、主人公〈桃子さん〉の人生はめでたい […]
2014-10-03 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『ことり』小川洋子著 この物語の主人公〈小鳥の小父さん〉の死に方が、僕の理想だ。死に方だけでなく、生き方もそうかもしれない。 ただ、静かに生き、静かに死にたい。 物語は、自宅で孤独死している〈小父さん〉が発見されるところから始まる。 あり […]