【映画】「Perfume Reframe THEATER EXPERIENCE with you」を観た感想――元祖2.5次元アイドルPerfumeの再構築。

 本作は、テクノポップアイドル Perfume が過去に行ったライブを映像化したものだ。

 そのライブとは、2019年にLINE CUBE SHIBUYA(旧・渋谷公会堂)で行われた「Reframe2019」である。
 また、そのライブの原型は、2018年にNHKホールで行われた「Perfume×TECHNOLOGY presents “Reframe”」で、一部はNHKBSにて全国放映された。
 
 その特徴は、最先端の技術を駆使した空間演出にある。
 歌声に聴き入るコンサートというよりは、視覚的なアート(3人のダンス、舞台セット、ライティングなど)といった側面が強い。

 自宅の小さなテレビで(2018年バージョンを)観たときは、イマイチその凄さを認識できなかった。
 映画館の大画面で観たら、制作陣が表現したかったことがより明確に感じられて、ある程度は楽しめた。
 ただし、この壮大な演出はやはり映画館の大画面でも収まりきらないのだとも思った。
 また、いわゆるライブビューイングではないので、3人の演者(Perfume)や他の観客と「同じ時間を共有する」という感覚に陥ることもできない。
 Perfumeの生ライブに早く行きたいな、という思いが募った。

 本作の舞台演出の最先端技術は、ライゾマティクスというパフォーマンス集団が担っているらしい。
 彼らの演出技法は、テクノポップアイドルPerfumeの持つ「未来」「仮想現実」といったイメージと非常に親和性が高い。
 事前に打ち込んだプログラミングによって舞台装置や照明を稼働させ舞台芸術をかたち作るという彼らの技法は、まさに電子楽器の機械的なサウンドに歌声を乗せていくというPerfumeの音楽と同じだ。

 機械と人間の協同で作られたデジタルアートは、まるで未来型サーカスだった。
 普通の舞台だと思って観ていたら、不思議と違和感のある場面が出てきて、仕掛けに気付いて、あっ、と驚く。
 そんな演出が曲ごとに用意されていた。

 様々な演出パターンがあった。印象に残っているものをいくつか挙げる(自分のための備忘録的な要素が強め)。

・過去の映像を使った作品では、「再生」のMVのように、過去の映像を繋ぎ合わせて(再構築して)一つの統一感を持った映像が作られる。どの映像を使うかの選定は、機械学習したAIが担ったという。

・舞台上で踊る3人の影が、複数のスクリーンに映し出され、影自体が縦横無尽に動き回る。その影はライトを浴びて自然にできた影ではなく、3人の動きを読み取ってスクリーン上に影として投影されたものだ。影を作り出す場所や、影の角度や大きさはスクリーン上で自在に変えられる。3人の動きと確かに連動しているのに、まるで影が自立して踊っているようにも見えた。

・レーザーライトが3人の両手の6点に集まる演出も面白かった。手の動きに合わせて複数のライトの焦点も動く。

・フレーム(枠)を使った演出は、「ワンルーム・ディスコ」のMVを彷彿とさせた。多重録音の技術を使って即興で曲を作るという演出とも組み合わされており、レコーディングブースのようにも見えた。

・また、スクリーン上の光で再現されたフレームは、大きさが変わったり高速で移動しているように見えたりする。
 四角いフレーム(枠)の多用は、「仮想現実を映し出すディスプレイ」をイメージさせ、所詮、仮想現実は本物の現実と違って有限であることを彷彿とさせる。「閉じられた箱」の中だけでもハウス(クラブ)ミュージックに乗って踊り明かそうという刹那的な感じさえ受ける。
 Perfumeの3人は「ショーウィンドウの中のマネキン」や「水槽の中の魚」のように、一定のフレーム(枠)の中で踊っているときが一番似合っている気がする。
 気軽に会えて直接触れられるアイドルではなく、画面の向こうの(フレームの中の)存在であって、しかしながらPerfumeの3人は実在しているのであるから、まさに「2.5次元アイドル」と呼ぶのに相応しい、と個人的には思っている。


 Perfumeの音楽と踊りについては、メジャーデビュー当時から一貫して、それぞれ中田ヤスタカとMIKIKOが担っているらしく、それはこの作品でも変わらない。
 デジタルアートによる華々しい本編が終わった後のアンコール曲は、何もない舞台上で質素なライティングの中、生身のPerfume3人が歌い、踊る。
 曲名は「Challenger」。メジャーデビュー15周年を記念してリメイクされた最初期の曲だという。
 本編がパフォーマーとしてのPerfumeを楽しむ部分だとすると、アンコールは10年以上の歴史を刻んだ3人の生身の人間に触れる部分だったのかもしれない。
 冒頭で過去の映像が「再構築」して流されたように、未来を築き上げていくためには過去の蓄積が必要なのだ。
 「再構築」を決意したPerfumeの「未来」がとても楽しみだ。



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