【映画】「婚前特急」(吉高由里子主演)を観た感想。

負け犬男の妄想全開だけど、それが痛快!



 負け犬たちの願望が映画化された。
 負け犬たちに告ぐ。これはアダ〇〇ビデオと同様の空想物語だ。万一にも「こんなことが俺にも起こんないかなー」などと夢見てはいけない。アダ〇〇ビデオで展開されるセ〇クスが現実のセ〇クスとかけ離れているのと同様だ。あくまでもフィクション作品なのだ。
 「ほんのり、ちょっぴり、いい話」的な結末に心温まる人もいるだろうが、現実の負け犬系男子の恋愛事情を厭というほど痛感している僕などは「ハァアアアア?! ざけんな! 氏ね!」と、ついつい突っ込んでしまった。虚構ということは当然の前提として映画を観てはいるものの、相手役のブサメン負け犬野郎にとってあまりにも都合が良すぎるラストだと率直に感じた。
 とは言うものの、作品としては決して嫌いではなかった。現実味はなかったが、ア〇〇トビデオを見る姿勢で観れば、十分に楽しめる作品だった。

 簡単なあらすじを述べると、吉高演じる〈池下チエ〉という糞ビッチの腐れマ〇コが、五股していた彼氏の中から、最終的に、一番冴えない負け犬ブサメン男子を選んで結婚するという話だ。

 「同時に五人の男と付き合うOL」という設定を自然に演じてしまう吉高由里子、やはり畏るべし。
 吉高は、言うまでもなくNHKの連続テレビ小説「花子とアン」で主人公を演じ、今年(2014年)の紅白歌合戦の司会者にも抜擢された、ノりにノってる優れた女優だ。しかし、僕は、吉高の醸し出す雰囲気が苦手だ。デリ〇ルに電話してラブホの個室のチャイムを鳴らしたのが彼女だったなら、僕は嬉しさのあまり小踊りするに違いない。だがしかし、彼女が同僚として職場にいたとしたら、僕はきっと、彼女を避ける。関わりたくない。畏れ多くて。
 彼女独特の鼻にかかった甘えた声は明らかに一昔前の「ぶりっ子」のそれだが、対照的に、容姿は八頭身のアダルト美女ときている。「勝ち組ヤリ〇ン女子」のオーラが半端ない。まるで後光のように、彼女の背後に無数の男たちの姿が見える。しかも彼らは僕が足元にも及ばないような勝ち組ばかりだ。そんな吉高(同僚OL)の前に僕がのこのこ出て行ったところで、虫ケラのように扱われるのが目に見えている。僕はきっと、その屈辱に耐えられないだろう。だから、最初から彼女の視界に入らないように行動するだろう。妄想の相手としては至上だが、現実の相手としては最悪。僕の中で吉高は、そういったタイプの女のまさに典型例に映っていた。
 だからこれまで自然と、彼女の出演している映画やドラマは避けていた。一度も観たことがなかった。だが、今回は、僕の予想の斜め上をいく「ヤ〇マンビッチ」役を冒頭からガンガン演じていた為に、あるいは、〈チエ〉という極端に戯画化(デフォルメ)されたキャラクターがあまりにもブッ飛んで現実離れしていた為に、逆に、僕の心をヒリヒリさせる現実感(リアリティ)が伴わず、つまり、本作は「負け犬系男子の妄想全開のアダ〇〇ビデオ」の一種として端から観賞することができ、結果、吉高も「現実の」勝ち組ビッチとしてではなく「負け犬の妄想の中の」勝ち組ビッチとして最初から捉えることができ、そうすると、彼女の存在は決して不快なものではなく、世の負け犬系男子を昇天させるに値する萌え要素を備えた最強の「ツンデレOL」へと変化した。

 殴りたいほど、愛おしい。
 唾を吐きかけた口で、濃厚なキスをする。
 大嫌いと叫びながら、セ〇ク〇で激しく腰を振る。
 マゾな負け犬系男子にとってはたまらない「ツンデレ劇場」がこれでもかと展開される。

 相手役であるパン工場のブサメン工員〈田無タクミ〉役に浜野謙太。これも、吉高と並んで、実に巧い配役だった。
 まず、デブというのがいい。悲壮感がない。同じ殴られるにしても、ガリだと、リアルで可哀相な絵面になってしまう。次に、本気でブサイクなのがいい。八頭身の吉高と並んだときの、浜野のギャグマンガのキャラみたいな頭身ときたら。根本的にブサイク。これは共感できる。次に、浜野がほぼ無名の俳優だったのがいい。これがもし、名の知れた俳優(仮にそれが三枚目であったとしても)だったなら、「本格(映画)感」が出てしまう。「アダ〇〇ビデオ感」が減殺されてしまう。ア〇〇トビデオの主役はやはり女優であって、男優を豪華にすることに意味はない。

 以上、この作品は、「非現実感」を純粋に楽しめないと、少し厳しいものがあるだろう。途中から「妄想映画」として割り切っていた僕でさえ、ラストではついついツッコミを入れたくなったほどだから。
 だが、「妄想映画」としては極めて優れており、妄想を強化するためのストーリーや脇役(杏や加瀬亮といった実力派)にも凝っていた。荒唐無稽ではあるが、途中で白けて投げ出してしまうほどチープな作品では決してない。
 ア〇〇トビデオによる安直な動物的オナ〇ーに飽きた負け犬系男子の皆さん(特にMっ気のあるブサメンの方々)は、少し高尚な精神的オ〇ニーのために本作を用いてみてはどうだろうか。もちろん、本作がフィクションであることをお忘れなく。

(この文章は2014年に書いたものです。20代当時の僕が書いたものです)

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