2020-08-01 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【SF】『屍者の帝国(伊藤計劃×円城塔著)』を読んだ感想――自由意思があると思い込めるなら機械人形でもいんじゃね? 早世した奇才のSF作家・伊藤計劃の遺稿が本書のプロローグだ。それを大きく膨らませ、芥川賞作家の円城塔が壮大な物語を織り上げた。 円城が伊藤のテキストを読み込み、知友の遺志を汲み取ろうとしたことは、先日読んだ『虐殺器官 […]
2020-07-10 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【SF】『虐殺器官(伊藤計劃著)』を読んだ感想――人間の良心を操ることは可能か。 決定論をモチーフにしたと思われるSFアクション。 人間の意志や自由といったものを考える際にSFは最適な物語形式なのかもしれない。『1984年』や『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』といった過去の類書とテイストは非常 […]
2020-07-07 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【小説】『ペスト(カミュ著)』を読んだ感想――僕たちはコロナにどう向き合うべきか。 病魔は無差別に、無作為に、無意味に、標的を選定する。人々はある日突然、職を奪われ、健康を奪われ、家族や友を奪われ、自らの生命を奪われる。 この不条理に力強く抗う人々を群像劇風に描いた本作。 著者はこの「抗う意思」にこ […]
2020-07-04 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【小説】『ライオンのおやつ(小川糸著)』を読んだ感想――人生はおやつみたいにただおいしく味わうものよ。 若年性の末期がんに冒された女性が、瀬戸内に浮かぶ小島のホスピスで、最期の日々を生きる物語。 この作家は舞台設定が秀逸だ。 「柑橘系の果実の栽培が盛んな〈レモン島〉」とあるだけで、陰鬱なテーマを吹き飛ばすような爽快さを […]
2020-07-01 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『むかしむかしあるところに、死体がありました。(青柳碧人著)』を読んだ感想――超常現象に推理は通用するか。 謎解きにファンタジーの要素を加えた点が斬新だ。 ファンタジーとは言っても、それは「新たなルールの追加」を意味するに過ぎず、論理や因果律といった体系を超越するわけではない。むしろそれらは、本格推理小説と同じように、非常 […]
2020-06-08 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『君たちはどう生きるか(吉野源三郎著)』を読んだ感想――それは確かに素晴らしい生き方ですが・・・。 哲学書に限らず良質な読書体験は、「物事のあるべきすがた」を人々に啓示してくれるが、残念ながら、その説諭を体得し実践できる人間は極めて稀だ。 君もこれから、だんだんにそういう書物を読み、立派な人々の思想を学んでゆかなけ […]
2020-04-22 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子著 通常の人間は、この小説の主人公のように、老年を迎えてからやっと、孤独に対する対処法を体得するらしい。子が独立し伴侶と死別するまでそれについて深く考える必要に迫られなかったというだけで、主人公〈桃子さん〉の人生はめでたい […]
2014-10-03 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『ことり』小川洋子著 この物語の主人公〈小鳥の小父さん〉の死に方が、僕の理想だ。死に方だけでなく、生き方もそうかもしれない。 ただ、静かに生き、静かに死にたい。 物語は、自宅で孤独死している〈小父さん〉が発見されるところから始まる。 あり […]
2014-07-09 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『牛を屠る』佐川光晴著 旧態依然とした屠殺場の生々しい現場を、北海道大卒で元出版社編集者のインテリ著者が活写したノンフィクション。 まず断っておきたいのだが、この作品は、「屠畜会社に体験入社してルポ書いてみました」的なノリの学芸作品ではない […]
2014-07-08 / 最終更新日時 : 2023-12-18 tarukichi_62 読書 【読書】『デヴィ・スカルノ回想記 栄光・無念・後悔』ラトナ サリ デヴィ・スカルノ著 無気力で行動力に欠ける負け犬系男子に強烈なビンタを喰らわせ、活を入れる、デヴィ夫人の自叙伝。「私の精神構造は、一九五九年に日本を出たときのままになっているので、“浦島太郎”の私にはニートだとか、フリーターだとかいう日本 […]